1. シャンプーの中でPQ-10は「安定してる」
これは、シャンプーの中が高濃度で、界面活性剤(洗浄成分)がたくさんあるからなんです。
● 実際には「ミセル」という“かたまり”の中に取り込まれている
- 洗浄成分(アニオン性界面活性剤)は、水中で**「ミセル」という小さな粒の形**になります。
- このミセルが、PQ-10のプラスの部分を内側に引き込み、一緒に安定させています。
つまり、混ざっているというより、“一緒に仲良くおさまってる”状態です。
2. でも、すすぎの時に「バランスが崩れて」コアセルベートになる!
お湯で薄まっていくと、界面活性剤の濃度が下がることで…
- PQ-10を安定させていたミセルが壊れ始める
- PQ-10とアニオン性成分が水に溶けきれず、くっついて粒になる
これが、いわゆる**「コアセルベート(coacervate)」現象**。
さらにこれは、「希釈によって反応が起きる=Lochhead効果(ロックヘッド効果)」とも呼ばれています。
3. PQ-10は「髪のアニオン性」とも引き合っている?
● 髪の表面はマイナス(アニオン)になっている
- キューティクルのダメージ
- ケラチン中の**カルボキシル基(-COO⁻)**が露出
これらの要因により、髪表面はマイナスの電気を帯びている状態です。
● PQ-10はプラスの電気(カチオン)を持っている
→ だから、コアセルベート粒(PQ-10+洗浄成分)も、マイナスの髪の表面にピタッとくっつきやすい!
✅ つまり、2段階の吸着が起きている
- PQ-10とアニオン界面活性剤が、すすぎでコアセルベート(粒)を形成
- その粒が、マイナス電荷の髪表面に吸着する
🧠 【たとえ話でまとめ】
- シャンプー中 → 「体育館で整列している生徒たち」=成分たちが安定状態
- すすぎ時 → 「授業が終わり自由時間になって、仲の良いペアで遊び始める」=粒ができる
- 髪の上では → 「仲良しのペアがステージ(髪)でダンスを始める」=吸着が起きる
📝 まとめ
- シャンプー中は、界面活性剤の力で成分が安定して混ざっている
- すすぎのときにそのバランスが崩れ、PQ-10とアニオン成分が粒(コアセルベート)になる
- できた粒が、マイナスの電気を帯びた髪に吸着することで、指通りやツヤが向上する